戸建て住宅の購入を検討する際、つい予算だけで新築戸建・中古戸建のどちらにするかを考えがちですが、実は予算以外にも気をつけるべき点があります。
ここでは新築と中古の違い「戸建」ならではのポイントをピックアップし、比較してみたいと思います。
ポイント 1.土地の状態
土地なくして家は建ちません。敷地の選び方によって、その上に建てられる住宅の制限や性能が左右されます。
古い戸建では接道義務を満たしていないものもあるかもしれません。その土地には建て替えができない、あるいは建て替えはできてもセットバックが必要なため、注意が必要です(もっとも、それだけ価格が安い=資産価値が低いわけですが)。
しかし、都内の不動産事情では良い条件を満たす土地を選ぶことはなかなか難しいのが実情です。例えば、敷地延長でも延長部分を庭のように活用して小さな子どもの遊び場として利用できるなどのメリットもあります。また、個性的な建物を建てたい場合には土地の形が変わっていることが活きることもあります。
自分達の価値観・ライフスタイルに合っているのか、有効に活用できる土地の状態なのかをよく考えて選ぶことが大切だと言えます。
※接道義務
建築物の敷地が、道路に2メートル(ないし3メートル)以上接しなければならないとする義務
※セットバック
敷地の接している道路の幅が4m未満の場合、道路の中心から2mまでは建物を建てられず、建ぺい率や容積率を計算するための敷地面積にも算入できない
新築であれ中古であれ、戸建住宅を検討する場合には以下のような「土地の状態」が非常に重要です。
戸建住宅を検討するうえでチェックしたい土地のポイント
・立地
・敷地面積、形
・方位
・立地
・敷地に接する道路状態
・地質、土壌、造成、整地の状態
・用途地域、建ぺい率、容積率
・隣家、隣地との関係
ポイント 2.価格&コスト
戸建でも古い方が安い傾向にあるのは間違いないのですが、マンションのように古さと安さが直結するとは限りません。というのは、戸建価格のうち、償却されない資産=土地の価格が大部分を占めているからです。その為、土地の状態が良い物件は中古であっても高価格なのです。
中古戸建てはリフォームが必要なケースが多いため、その費用を含めて考えなければならないのはマンションと同様です。しかし、新築戸建の場合も10年後にはリフォームが必要な箇所が出てくることが考えられますので、その費用を用意する事も考えて購入金額を検討する必要があります。
なお住宅ローン控除は「住宅ローンを利用してマイホームを新築、または購入、さらに増改築等をした場合に一定の要件を満たせば特別控除が受けられる」というもの。新築住宅だけではなく中古住宅も条件を満たせば控除の対象になります。
ポイント3.建物の状況
マンションと同様、新築戸建は最新の構造基準に則り最新の設備を使用して造られていますが、中古戸建の場合には作られた時期の基準や設備で建てられている為、どの耐震基準で建てられたものなのかをまずは確認する必要があるでしょう。木造建築はマンションに比べると経年劣化が激しいため、耐震性や防火性のチェックやリフォームの必要性があるのかを確かめる必要もありそうです。
しかし、戸建住宅はマンションに比べてリフォームや増改築の自由度が高いため、古いからといってそれだけで敬遠されるわけではありません。むしろ古い家に落ち着きを感じて心地よく住めるという方もいるでしょう。 また、中古戸建てとは新築の定義から外れた住宅を指します。「築後1年を経過」もしくは「人が住んだことのある住宅」のことを言います。その為、新築同等の設備で未入居の物件を中古物件として販売している場合もあります。
戸建住宅を検討する際、耐震構造や快適に暮らせるかどうかはもちろん、窓や鍵の種類や位置、火災報知機などの設置により防犯・防災を考えて建てられているかなどもチェックすることが大切です。
戸建住宅を検討するうえでチェックしたい建物のポイント
・設備
・耐震基準・耐震性
・防火性・火災時の安全性
・耐久性
・快適性
・明るさ
・カビ・シックハウス
・防音性・静かな環境
・バリアフリー
・防犯性
・リフォームのしやすさ
また、中古戸建ならではのとくに気をつけたいポイントがあります。
中古戸建を内覧する際にチェックしておきたいポイント
・居住中の物件は、家具の後ろにカビが生えてないかなどもしっかり確認しましょう。
・中古ではアフターサポートは期待できません。構造や設備になんらかの不備があった場合、引渡後の手入れは買主の負担となることが多いため、これらのチェックは念入りにすることをお勧めします。
・前の持ち主が違法な増改築を行っていないかチェックしましょう。建て増しやバルコニーの設置で建ぺい率や容積率をオーバーしている、建物の一部が隣の敷地に進入しているなどです。
建ぺい率や容積率をオーバーしている場合、一般的に銀行のローンが組みにくくなります。(銀行によっても「容積オーバーは5%までは考慮する」など独自の基準を持っていますので、不安な場合には色々なところに住宅ローンの相談をしてみる必要がありそうです。)
また、上に挙げた接道義務を満たしていない土地は違法ではありませんが、建て替えなどに制限があるため、同様の扱いを受けることもあります。
いずれにしても「知らずに買ってしまい後で建て替えやリフォームができなくて困る」といったトラブルに巻き込まれることは避けたいはずです。今はよくても後に問題となりうるような「心配の種」はできるだけ解消しておきたいですよね。図面と現況を確認してみましょう。
まとめ
新築戸建に比べ、中古戸建の方が気にするべきポイントが多いと感じられたかもしれません。 毎日生活をする場所だということはもちろんですが、資産価値という点でもチェックポイントを確認して納得した家を選びたいですね。
以上を踏まえると、戸建もマンションと同様に「新築=高い」「中古=安い」という先入観にとらわれずに、購入やリフォームに関わる費用、土地、どうしても譲れない条件なども含めて総合的に判断することが肝要と言えるでしょう。
新築のメリット
・機能性に優れた最新設備
・耐震性や耐久性の面で安心
・諸費用は低く抑えられる
・設備の老朽化などに悩まされることが少ない
中古のメリット
・新築より物件価格が安い
・落ち着きを感じて心地よく住める
・リフォームで自分好みの住まいにできる
・売却時に資産価値が下がりにくい